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《誹謗・中傷、暴露系ネタ、アラシ厳禁》
歌舞伎町ダムド(ややネタバレあり)

2017-09-15 Fri 22:06
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 誉田哲也著「歌舞伎町ダムド」(中央公論社)を読了しました。面白かったです。

 本書はファンならご存じの通り、著者の過去の人気作品「ジウ」シリーズ及び「歌舞伎町セブン」の続編、というか後日談的ストーリー。「ジウ」で起きた歌舞伎町封鎖事件から7年後が描かれています。

 序盤、「ジウ」で事件を解決に導いた刑事・東警部補が、ともに活躍した元SITの門倉美咲とレストランで食事しながら「あれからもう7年かぁ」的に懐かしんでいるシーンに、私も懐かしさを覚えます。が、残念ながら美咲が登場するのはここだけ。今回の事件には全く関わりません。

 一方、美咲とは対照的な武闘派キャラで、美咲を嫌い対立していた伊崎基子。「ジウ」で新世界秩序の一員として殺戮を重ねた結果死刑判決を受け拘置中に、その新世界秩序によって秘密裏に娑婆に戻るも、息子を人質に取られ暗殺を強要される。そしてひょんなことから歌舞伎町セブンのメンバーに。そう、「歌舞伎町セブン」のミサキはやはり伊崎基子だったのです。

 そしてあるきっかけから新世界秩序に命を狙われる羽目になった東を、本来敵であるはずの歌舞伎町セブンが内々に護衛する流れとなり、新世界秩序vs歌舞伎町セブンの戦いが始まる。新世界秩序からは東殺しを命令されつつも、大切な居場所となりつつある歌舞伎町セブンを裏切りたくもないミサキの、揺れる気持ちも注目ポイント。冷酷非道な格闘マシンだった基子が次第に人間的感情を取り戻すきっかけが、「ジウ」の最後に美咲からかけられた言葉だというのも泣かせます。もし今後さらに続編があるのなら、美咲との絡みにも期待したいところです。

 タイトルにもなっているダムドとは、ジウや新世界秩序に憧れる凄腕の浮浪者殺し屋。殺戮シーンがグロすぎるほど残虐でクレージー。新世界秩序から東抹殺を依頼され、歌舞伎町セブンと戦う流れになりますが、タイトルにするほどの役柄ではないような気が…(笑)

 ストーリーは面白いですが、歌舞伎町封鎖事件の続編としてはかなりスケールが小さいので、ちょっと拍子抜けでした。しかし前作ではフリーライターや交番のお巡りさん、女子大生なんかも引き込んで再結成され、「え?」という感じだった歌舞伎町セブンが、ダークヒーローとして板についた感じになっています。こちらも続編が出るならさらに面白いストーリーが期待できそうです。

 東とセブン、立場が違いますが、どちらも損得勘定でなく義理人情や自分なりの正義感に基づき動くというのもまたよし。これ、絶対続編出ますね。期待しましょう。

 しかしミサキ(基子)のイメージ、ドラマのキャストもそうでしたが、やはり黒木メイサですねぇ。

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雪煙チェイス(ややネタバレあり)

2017-08-08 Tue 20:56
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 東野圭吾著「雪煙チェイス」(実業之日本社刊)を読了しました。スキー場に爆弾を仕掛けた脅迫犯と闘う「白銀ジャック」、スキー場に仕掛けられた時限式の生物兵器を捜索する、阿部寛主演で映画化された「疾走ロンド」に続く、東野圭吾スキー場シリーズ第3弾です。

 私はスキーは中学生の時以来ご無沙汰です。当然知識もありませんが、前2作同様そんなことは全く問題なく、夢中で読んでしまいました。

 物語は…

 老人が都内の自宅で殺される。警察は殺害日前日の目撃情報や、家の外に隠してあった合鍵の指紋から、以前老人の愛犬の散歩のバイトを請け負っていた大学生、脇坂を重要参考人として手配する。
 一方、自分が殺人事件の容疑者として警察から追われていると知った脇坂は、無実の罪を証明するため、事件当日新月高原で出会った美人スノーボーダーを探し出し、アリバイ証言を依頼しようと試みる。数少ない手掛かりをもとに彼女のホームグラウンドである里沢温泉スキー場へ。警視庁捜査一課を出し抜きたい上司の命令で、内密に脇坂を探しに里沢温泉スキー場にやってきた、所轄署の刑事・小杉らと巨大スキー場を舞台にした“追いかけっこ”が始まる。


 結局、脇坂は最初から一貫して犯人ではありません。にもかかわらず本作は9割以上が警察と脇坂の“追いかけっこ”。犯人は誰か?という謎解き要素よりも、スキー場における“追いかけっこ”を通じて描かれる登場人物たちの人間模様や、登場人物同士が出会い、関わることで生まれる心情の変化などがメインストーリーですね。私は好きです。

 脇坂が探し求める“女神”の正体は、最初私が想像していた人物ではなく意外でしたが、その後も最後まで予想を裏切られ続け、思わず唸りました。

 シリーズを通して登場するスキー場の監視員の根津と、オリンピック出場を目指したスノーボーダー・千晶が遂にゴールインするのもファンには嬉しいハッピーエンドでしょうね。

 このまま完結するにはあまりにも惜しい、スキー場シリーズでした。


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虚ろな十字架(ややネタバレあり)

2017-07-26 Wed 21:08
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 東野圭吾著「虚ろな十字架」(光文社)を読了しました。今年はほとんど読書をしていないので、久々の読了です。

 本書のテーマはやや重いのですが、集中して一気に読破できました。テーマの選び方や展開に賛否両論あるようですが、私は東野圭吾がこういう社会派作品を書くのはウェルカムだし、とても意義深いと思います。

 ストーリーは…

 中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた。

 テーマは、「死刑制度の是非」、そして「罪を償うとはどういうことか?」。

 幼い娘を殺された中原夫妻は、犯人に極刑が下ることを心の糧に日々を生き、裁判を戦う。しかし実際に死刑判決が下されても心が満たされることはなく、生きる目的を見出せずに離婚してしまう。さらに、犯人が最後まで反省や謝罪の言葉は口にせず、控訴を取り下げた理由も単に生きるのが面倒だったから、と聞き「死刑」か「無期懲役か」にこだわっていたことの虚しさに直面する。

 その一方、元妻・小夜子を殺害した犯人・町村の娘婿・仁科史也は、過去に殺人を犯しながらも犯行を隠蔽し、刑に処されることもなかったが、彼はその罪滅ぼしに自らの人生を捧げて生きてきた。被害者遺族は両者の違いをどう受け止めればよいのか?罪の償い方を根底から疑問視する。

 小夜子を強盗目的で殺害した犯人・町村への被害者遺族の気持ちの変化も興味深いですね。当初遺族は何とか死刑にしたいと願うが、元夫・中原の調査により、町村の真の殺害動機が明らかになり、情状酌量の余地が出て減刑の可能性が生じる。小夜子が殺された事実は変わらないのに、遺族はそれを受け入れる。それで納得出来るものなのか?

 もちろんフィクション小説ですが、被害者遺族の立場から彼らの心情を疑似理解しつつ、死刑制度の是非をあれこれ考えられて興味深い作品でした。


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ANAのVIP担当者に代々伝わる 言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方

2017-04-20 Thu 00:00
ANA

 “伝説の元ANA CAマネージャー”加藤アカネ著「ANAのVIP担当者に代々伝わる 言いにくいことを言わずに相手を動かす魔法の伝え方」(サンマーク出版)を読了しました。接客とは何か?コミュニケーションとは何か?改めて学べ、とても参考になる本でした。

 ANAにはVIP担当者だけに代々伝わる、言いにくいことを言わずに相手に気持ちよく動いてもらう「秘伝(魔法)の伝え方」があるそうです。そんな特別なノウハウを惜し気もなく大公開!!というのが本書の主旨。

 お恥ずかしながら過去の私には、とにかく正論が大好きだった時期がありました。正論が最強、正論が全て、正論を振り翳して相手をひれ伏させる。そのために相手の気持ちがどうなろうが知ったこっちゃない、みたいな考え方に囚われていたのです。今思えばそれは必ずしも正しいとは限らないし、それで失ったものも少なくありませんでした。その後、人生経験を積む中で気づき、改めるよう努めたわけですが、本書の序章に書かれた

普通の人は、正論を言って、相手を動かす
うまい人は、それとなく伝え、動かす
超一流は、伝えずに動かし、しかもこちらを好きになってもらう


という文章を読んだ時は、正直とてもショックでしたね。かつてのオレ、やはりただの普通の人だったのか…と(苦笑) 本書を読むに至った直接のきっかけはある人の推薦ですが、(BOOK・OFFに出回るのを待たずに)すぐに買って読もうという気にさせられたのは、間違いなくこのフレーズです。

 さて、その「秘伝の伝え方」とは具体的にどのようなものか?例えば飛行機の中に、泣いている赤ちゃんを連れたお母さんと、それを「うるさい」と怒っているビジネスマンがいるとします。もし自分がCAだとして、お母さんに対して「赤ちゃんを泣き止ませてください」とは言えませんし、ビジネスマンに「赤ちゃんは泣くものです」とも言えません。どちらも大切なVIPのお客様だからです。当然“飛行機の中では○○デシベルまでの騒音なら出して可”なんてルールもありませんから、ルールを盾に交渉することも出来ません。かといって何とかその場を収めても、どちらか(もしくは両者)に不満を抱かせてしまえば、今後ANAを利用してくれる機会はなくなります。いやぁ、大変です。

 こんな時、どう言えば誰もイヤな気持ちにさせずに、自分の希望通りに相手を動かすことが出来るのでしょう?著者は自身の経験からどんな「魔法の伝え方」を編み出したのでしょうか?そんな秘密が事例ごとにたくさん紹介されています。目次から主なものを抜粋すると…

第1章は「気まずいお願い」をする時の魔法。 
●反対意見の人に、ひと言も言わずに主張を通す
●会議中、自分の意見を言わずに思い通りの結論に導く
●長い話を不快にさせず終わらせる 
●騒ぐ人を、注意しないで静かにさせる 

第2章は「双方」を丸く収める時の魔法 
●意見の違う部下Aと部下B、やる気を削がず仕事をさせる
●上司Aと上司B、どちらも立てて思い通りに動かす 
●多数派と少数派、どちらにもファンになってもらう 

第3章は「優劣」をつけなくてはいけない時の魔法 
●お客様Aとお客様B、どちらも立てて丸く収める 
●先約をしている人に「別の約束が入ってしまった」と角を立てずに断る 
●部下Aと部下B、昇進しなかった方を落ち込ませずにやる気にさせる 

…どれも思わず、えっ?そんな上手い言い方なんてあるの?!と疑ってしまうようなテーマばかり。著者が中間管理職時代に編み出した“魔法の伝え方”が比較的多いので、CAに限らず一般企業で中間管理職を目指す人にも参考になりそうです。

 私が感じた限りですが、どれにでも共通するのは、相手の気持ちにフォーカスして、相手の気持ちに寄り添う。誰かのせいにするような言い方はしない、ということでしょうか?正直、大企業で営業経験のある私でも、どれも何となく経験を通してある程度は理解していたことばかり、というか必ずしもVIP担当のCAでなくとも気づくチャンスに出会えることばかりでした。しかしそれらを完全に自分のものとし、武器にして闘えたか?部下や後輩に伝授できたか?と言われるとどちらもダメでした。これが一般読者(私)と著者との差なのでしょうね。改めて本書から学んだことを自分の血や肉とし、もっと魅力的になれるよう自分を磨きます。

 最後に、本書とは無関係ですが、飛行機(CA)繋がりで私が大好きな、相手を動かす魔法の言葉をご紹介します。綾瀬はるか主演「ハッピーフライト」という映画のワンシーンのセリフです。CAが「フィッシュ?orビーフ?(魚料理?それとも牛肉料理?)」と訊ねながら機内食を配り始めると、なぜか乗客が牛肉料理ばかり選んでしまう。このままでは早々に牛肉料理がなくなり、後の方に配られるお客さんに選択の余地が与えられない、まずい!!…という時にCAが使ったテクニックです。

「ローズマリー、タイム、オレガノなどのハーブをまぶし、ミネラル豊富な天然の岩塩と粗びき黒胡椒で美味しくソテーした白身魚か?ただのビーフか?どちらにいたしますか?」

「伝え方が9割」という本でも取り上げられた名セリフ(?)ですが、これもある意味“魔法の伝え方”でしょうかね?(笑) サービス業従事者の工夫には頭が下がります。


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不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち 「きょうだい型」性格分析&コミュニケーション

2017-04-16 Sun 00:00
不機嫌

 昨年読んだ「察しない男 説明しない女」の著者・五百田達成氏の近著「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち 「きょうだい型」性格分析&コミュニケーション」(ディスカヴァー・トウェンティワン)を読了しました。

 最初は、どうせ「察しない男 説明しない女」がヒットしたから、二匹目のドジョウを狙ったんだろう、とあまり期待せずに読み始めたのですが、これも見事に“目から鱗”。面白くも参考になる本でした。

 内容は「察しない男 説明しない女」が男女の思考や価値観の違いを様々な観点から解説。日常生活の中でギャップが生じる原因を具体的かつ体系的にまとめているのに対し、こちらも長子(長男長女)・末子(末っ子)・中間子(その間)・一人っ子、それぞれの思考や価値観の違いを、その原因とともに解説。そしてそれらを理解した上で、どうすればお互い尊重し合って上手に付き合うことが出来るか?をアドバイスするという主旨です。

 長男は責任感が強く真面目、次男は楽天家、末っ子は甘ったれ、みたいなことはこれまでの人生経験の中で察しましたし、本書に書かれていることも理解したつもりでいることばかり。正直真新しい情報はほとんどありません。しかし改めてその原因から解説されたことで、ちゃんと違いが理解出来たような気がします。私は長子(長男)ですが、弟(中間子)の

・お礼を言わない
・感情を出さない
・金銭的にがめつい

妹(末子)の

・何事も人任せで無責任
・努力せず手を抜きたがる
・いつまでも周りからチヤホヤされるものと思ってる

といったことに長年不満を持っていました。なぜオレと同じことが出来ないんだ、コイツらは?!と本気で怒っていましたね。でも本書を読むとそれが間違い、というかある意味仕方ないことのようなのです。それが理解出来てよかったと同時に、今まで気づけなかったことが恥ずかしくもあります。

 逆に自分(長子)の非を指摘され耳が痛い部分も多々ありました。例えば

「長子は、自分が周囲の人間と上手く付き合えている、と思い込んでいるが、実際には周囲が自分に合わせてくれているだけ」

なんてショッキングすぎですよ(笑)

 書き方も難しい言葉を羅列してダラダラ綴られてはいないので読みやすい。例えばその一部をご紹介しますと、

仕事では……
長子は、仕事に成長を求める
末子は、仕事にバランスを求める
中間子は、仕事に人間関係を求める
一人っ子は、仕事にやりがいを求める


みたいに、読みやすくも興味を引く構成。それでも「あっ、当たってる!スゲ~」に留まらず、兄弟、いや会社の同僚や部下、得意先担当者にまで視野を広げ、それぞれの価値観と照らし合わせた上でどう付き合うのがお互いにとってベターなのか?参考にするのも面白そうです。

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まとめて(サラッと)読書感想文(20170311)

2017-03-11 Sat 08:42
5人のジュンコ

「5人のジュンコ」(真梨幸子著/徳間書店/2016・6)

 イヤミスでお馴染みの真梨幸子著「5人のジュンコ」を読了しました。相変わらず読みながらひたすらイヤ~な気分になりイライラしましたが、著者の作品の中ではかなり上位に入る面白さだと思います。

 まず冒頭に、佐竹純子なる女が結婚を餌に5人の独身中高年男から金を借り、その後毒殺したことを報じる新聞記事が挿入。事件の特徴や容疑者の醜い容姿から、数年前に実際に起きた婚活殺人事件がモデルなのでしょう。

 以降、各章ごとに漢字表記違いでその毒婦と同じ名前の、5(4)人の“ジュンコ”という女性が登場。彼女らはそれそれ佐竹純子と関係があったり、彼女から何らかの影響を受けたりしています。そこには妬み・怒り・嫉妬のオンパレード。

 でも最後まで読んでも何となく尻切れトンボのような、消化不良のような、「…で、それで?」みたいな感じでしたね。まあ犯人探しメインではないので別に変じゃないんですけど。


ドンナビアンカ

「ドンナビアンカ」(誉田哲也著/新潮社/2016・2)

 久々に読む誉田哲也の警察もの。ただ、姫川ものに比べ魚住ものはイマイチ。前作「ドルチェ」でガッカリしましたが、長編の本作はなかなかよかったです。

 といっても事件の捜査の部分、謎解きや捜査のシーンはオマケみたいなもので、メインは犯人(?)・村瀬の半生と、国籍取得目的で村瀬と偽装結婚した中国人女性・瑤子と彼との切ないラブロマンスがメインで見所。ほろっとさせられました。

 ところで私、実写化されたらキャストは誰だろう?と想像しながら小説を読むのですが、本作の主要キャラのひとり、村瀬の上司で遙子の愛人・副島のイメージがずっとピコ太郎でした(笑)


金融探偵

「金融探偵」(池井戸潤著/徳間書店/2007・7)

 ちょっと古めの池井戸潤。短編集です。再就職活動中の元銀行員・大原次郎が、アパートの大家が経営する銭湯の経営危機を救うため、前職の経験を活かして取引銀行から融資を引き出させるべく奔走する。

 これに成功した大原は、大家夫婦の娘・梨香の煽りもあり、ささやかながらお金にまつわるトラブルを解決する“金融探偵”を再就職活動の傍ら開業して…という、一風変わった“探偵シリーズ”。といっても現在のところ続編は出ていないようなので、あまり人気なかったみたいですね。それなりに面白いですが、確かに半沢直樹シリーズのようなスケールではないか(笑)
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フォルトゥナの瞳

2017-02-02 Thu 00:00
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 「永遠の0」や「海賊と呼ばれた男」などでお馴染みの百田尚樹著「フォルトゥナの瞳」(新潮社)を読了しました。同じジャンルの作品は書かないという著者ですが、本作はSF(ファンタジー?)でしょうか?ストーリー展開や結末への評価については賛否両論あるかも知れませんが、私は純粋に面白かったと思います。特に後半はほとんど一気に読んでしまいました。久々の“切ない系”作品でしたね。

 主人公・木山は、幼い時に火事で両親と妹を失い天涯孤独の身。幼少期を施設で過ごすが虐められがちで友達はいない。30歳手前になり自動車塗装工として働くが、ここでも同僚とは打ち解けず。
 そんな木山は、ある日電車内で体の一部が透けている男を見かける。最初は見間違いと疑ったが後に同様の人間を頻繁に目撃するようになるとともに、それが死期が近づいた人間が発するサインだと知る。
 彼はその不思議な能力に戸惑いつつも、彼らを助けようと、つまり未来を変えようと努める。しかし赤の他人の死を回避させても感謝されるどころか逆に異常者扱いされ、それにより自分自身の寿命を縮めてしまう。また、同じ能力を持つ医師・黒川からは「神の領域に立ち入るべきではない」と警告されるが、幼い妹を救えなかった過去を未だに悔やむ木山は葛藤する。
 やがて塗装工の腕を認められ独立し、プライベートでも自分が“命を救った”携帯電話販売店員の葵と付き合い始め、幸せを手に入れた木山は、一度はもう他人の運命には干渉せず自分の幸せのために生きると決める。しかし近い将来鉄道事故で大勢の犠牲者が出ることを知り心が揺らぐ。自分の命を犠牲にしてでも大勢の他人の命を救うべきか?運命には干渉せず自分の幸せを優先させるべきか?大きな決断を迫られる。

 本作のテーマは「人間の運命とは何か?」、もし何らかの理由で運命が見え、それに手を加えられるとしたらどう向き合うべきか?…でしょうか?誰しも一度は考えそうなことです。未来は最初から定められたものなのか?変えようとして変えられるのか?変えたつもりでも結果的にそれが最初から決められた運命なのか?未来を変えることは神の領域に足を踏み入れる行為なのか?難しいテーマですし、時間を巻き戻せない以上その答は誰にも分かりませんよね。普段深く考えることはなくなってしまいましたが、改めて運命について考えるきっかけになりました。

 木山と葵の純粋な恋はいいですね。今更ながらちょっと憧れます(笑)
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介護殺人 追いつめられた家族の告白

2017-01-27 Fri 00:00
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 昨年から読んでみたいと思っていたノンフィクション「介護殺人 追いつめられた家族の告白」(毎日新聞大阪社会部取材班)を読了しました。

 本書は、2014年に同社が“事件に翻弄される人々”をテーマに「哀愁記」というコラムを連載開始したところ、特に介護の末に愛する家族を殺めてしまった「介護殺人」掲載回に大きな反響があったことから、独立させた企画です。

 本来、超高齢社会を迎えつつある日本人なら、こういった事件とは誰もが身近な問題として真剣に向き合わなければならないはずです。しかし、介護未経験者はつい“対岸の火事”として扱いがち。さらにマスコミの扱いも概ね小さいという現実も、改めて記事や書籍を通じて広く訴えるに至ったきっかけのひとつだそうです。

 タイトルの「介護殺人」からは、凄惨な殺人事件の数々をおどろおどろしく紹介する内容を想像しがちですが、中身はちょっと違います。実際の加害者である「家族」を探し出して取材し、事件に至るまでを本人に告白させています。そこには真面目に生き、人生を犠牲にしてまで全力で介護した結果、精神・肉体・経済あらゆる面で追い詰められ、愛する者を手にかけてしまった経緯や後悔の念が切々と描かれており、実にリアルで胸が締め付けられる思いです。つまり、単に読者を怖がらせたり、好奇心を満たしたりすることが目的の娯楽コンテンツでは決してないということ。介護未経験者には介護の現実を知ってもらい、介護経験者には同志の苦労・苦悩を通して仲間意識を感じさせ、少しでも楽な気持ちになってもらう。そして両者に向けて介護が必要になった時のための情報・ノウハウ・アドバイスも少し紹介。私はとても存在意義のある書籍だと思いました。今後介護人口はさらに増します。本書が少しでも介護への関心を高めるのに役立つといいですね。

 我が家でも父を中心に長年認知症の母を介護をしていますが、各章に書かれたどの事例を読んでも他人事とは思えませんでした。さすがに当事者に取材して書かれただけありリアルです。皮肉混じりでこれは“あるある本”か?とすら感じました。共感したり、注意しなきゃ、と反省することばかり。

 逆に改めて気づかされたことも少なくありません。例えば家族を手にかけてしまうケースでは、介護者が不眠から鬱になっているケースが多いということ。実際データにより証明されているそうです。私の母の場合、痰の吸引や床ずれ予防のために深夜何度も起きるといった必要は幸いありませんが、夜尿防止のため深夜に一度、母を起こしてトイレに連れていくといったことをしています。これも何も知らずに行うのと、寝不足に注意しなきゃと意識して行うのでは大違いです。

 でも私の本音は、やはり本書を最も読んで欲しいのは介護未経験者、特に相手の気持ちを想像せずに上から目線でアドバイスをしたがる人たちですかねぇ。介護は理屈や正論、綺麗事で上手く乗り越えられるものではありません。介護のリアルを少しでも知って欲しいものです。

 先日、テレビ番組でタレントのつちやかおりが実母を介護施設に入れようとしたら、介護未経験の友人から「よく自分の親を捨てるようなこと出来るわね」と言われ、ショックで鬱になったと告白していました。国や行政の支援ももちろん大事ですが、それと同じくらい、誰もが介護事情に理解を示し、明日は我が身と思って介護の現実を知って欲しいものです。

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まとめて(サラッと)読書感想文(20170121)

2017-01-21 Sat 12:19
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「夢幻花」(東野圭吾/PHP研究所/2016・4)

 花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。

 「ある花好きな老人が一人殺される」というショボい殺人事件ながら、かなり面白かったです。最近の著者の作品の中でも上位に入るでしょうか。

 冒頭のシーンは1960年代。深川通り魔殺人事件を連想させる無差別殺人事件で若い夫婦が犠牲に。次に、家族恒例行事の、夏の朝顔市見物で知り合った少女との楽しかった日々を、ある日唐突に父親に強制終了させられた少年のお話。そしてオリンピック出場を期待されながらある理由で引退してしまった梨乃の周囲で起きた従兄の自殺と祖父殺害。全く関連性が読めないこれらがどう繋がるのか?さらに、離婚により離れて暮らす我が子のためにも犯人を挙げたい刑事、江戸時代以降、この世に存在しないとされる幻の黄色い朝顔。これらも一体どう結びつくのだろう?ラスト付近まで分かりませんでしたが、上手くまとまっていると感じました。これまで特に興味なかった朝顔にも関心が湧いてきました(笑)

 さらに本書で訴えられる「職業的使命」「一族で守り抜く社会的責任」みたいなテーマもなるほどね、という感じです。


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「新装版 しのぶセンセにサヨナラ」(東野圭吾/講談社/2011・12)

 休職中の教師、竹内しのぶ。秘書としてスカウトされた会社で社員の死亡事故が発生。自殺にしては不自然だが、他殺としたら密室殺人。かつての教え子たちと再び探偵ごっこを繰り広げるしのぶは、社員たちの不審な行動に目をつける。この会社には重大な秘密が隠されている。

 数ある著者のシリーズ作のうちのひとつ、「浪花少年探偵団シリーズ」第2弾。といっても2作だけなので、さほど力を入れていなかったのでしょうね。

 物語は女性小学校教師が(元)教え子の悪ガキとともに、身近に起きた事件にかかわり、部外者にもかかわらず解決に導いてしまうという警察(?)もの。舞台が大阪ゆえ、登場人物の関西人的図々しさ、ノリのよさ、会話の面白さ(全て偏見)が面白く、主人公が教師ということもありコメディの軽さがあります。

 ドラマの原作にしやすそうな作品でした。


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殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

2017-01-16 Mon 00:00
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 昨年、その販売手法が話題になった「文庫X」。その正体であるノンフィクション、清水潔著「殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」(新潮社)を読了しました。色々な意味で衝撃的な内容でしたし、多くの人に読んでもらいたいと願い「文庫X」として販売した書店員さんの気持ちも分かるような気がしました。なお、私は既に本書を読んだつもりでいましたが、実は勘違い、未読でした。

 本書の著者は、1999年に起きた「桶川ストーカー殺人事件」…被害者の女子大生が何度も警察に身の危険を訴えていたにもかかわらず、まともに相手にされず放置され、結果的に殺害されてしまう。しかも警察は保身のため相談を受けていたことを隠蔽しようとした…あの闇に葬られるはずだった警察史上に残る汚点を独自に暴き、世間に訴えた、当時「FOCUS」記者だった方です。

 その後日本テレビに移籍した彼は、番組制作をきっかけに、1990年に起きた「足利事件」の取材を開始。その中で警察の捜査手法や被害者・情報提供者の扱い、裁判所の判断などに多くの疑問を抱く。そして彼なりのやり方で真実を追求した結果、遂に無期懲役の刑を言い渡された“犯人”・菅家氏を無罪に導き、17年ぶりに釈放させました。その経緯を綴ったルポが本書ですが、そこには単なる経緯だけでなく、いかにしてポイント稼ぎ(検挙率アップ)ありきのいい加減な捜査が冤罪を生むか?日本の警察や裁判所(の一部)がいかに腐敗しているか?足を使わず記者クラブ情報頼みのマスコミの報道姿勢はいかがなものか?事件被害者やその遺族に対する一般市民の態度に問題はないか?などについても厳しく問題提起。とても考えさせられます。

 この「足利事件」および、それを含む1979年から1996年にかけて群馬と栃木の県境半径10キロ内で5人の少女が姿を消した、同一犯による可能性が高いとされる誘拐(殺人)事件…「北関東連続幼女誘拐殺人事件」と呼ばれますが…それぞれどのような事件だったのか?どのような捜査が行われ、現在どのように扱われているのか?警察の仕事に問題はなかったのか?ここではとても語り尽くせないため、興味をお持ちでご存じない方は恐縮ですがネットをググっていただければ、プチ評論家になれるレベルの知識は十分得られると思います。

 それでも私が本書を読んでよかったと感じたのは、まずニュースなどマスコミで報道されたこと以上の情報、すなわち警察が公にしたがらなかった不手際や杜撰な仕事の数々を知ることが出来たことです。特にDNA(型)鑑定結果について。私はこれまで単に当時の鑑定技術のレベルが低く、鑑定精度に問題があったから冤罪を生んでしまったと思っていました。しかし実際にはそもそもの鑑定結果が間違っていた、鑑定技術が上がっても再鑑定しようとしない(ミスを認めたがらない)、被害者のDNAを採取・鑑定していなかった(比較対象が曖昧)という論外甚だしい仕事ぶり…これで人ひとりの人生を狂わすのですから、恐怖を覚えます。

 そして最もショックだったのが、何と!著者は取材過程で真犯人と思しき男の存在と個人情報を特定していたこと。過去に日テレの番組内で採り上げたことがあるらしいのですが、私は知りませんでした。その男とはアニメの「ルパン三世」に似た、通称“ルパン”。1996年の横山ゆかりちゃん失踪事件の容疑者、パチンコ屋の防犯ビデオに映っていた帽子・グラサン・ニッカポッカの男とも似ているそうで、著者は警察に情報提供までしましたが、何だかんだ警察の“面子”のため野放し。今でも公開捜査番組で取り上げられる事件ですが、これでは解決するはずがない。虚しすぎますね。

 他にも読んでいて嫌な気分にさせられる内容ばかり(全て警察のミス・怠慢・面子重視の隠蔽など)でちょっとブルーになりますが、私も「文庫X」を販売した店員さん同様、本書の内容を出来る限り多くの人たちにも知って欲しいです。私もこういった事件コンテンツには関心があり、積極的に吸収してきたつもりでしたが、事件の大部分を忘れてしまっていたこと、忘れてはならないと誓ったはずが、今では記憶が見事に風化しつつあることを改めて思い知らされました。それを自覚しただけでも読んでよかったと思います。こういった本、意欲ある記者の声がいつか日本を動かすことが出来ると信じています。


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