新入社員を含むイマドキの若い社員から、仕事のことで質問を受けることがしばしばあります。
常に快く引き受け、優しく丁寧に答えてあげるという私のスタンスは昔も今も変わりません(笑)
しかしいつも歯痒く感じていることがあります。それは私が新入社員だった頃と比べ、明らかに彼らは

メモを取るという行為をしないんですよね。もしくはせっかく取ったメモを活用せずにそれっきり腐らせてしまう。これは教える立場からすると勿体無く感じるし、不満を覚えます。もちろん私の周囲限定での現象だとは思いたいですけれどね。世の中には真面目で学ぶことにハングリーな若者もたくさんいますから…。
教わったことをその場でメモする目的は2つあると思います。
1つは当然ながら、
教わったことを忘れないようにするため。せっかく先輩が仕事の手を止めて自分のために時間を割いて教えてくれていることですから、一語一句逃してはなりません。メモを取らなかったばかりに後日忘れてしまい、もう一度同じ説明を要求するなんて失礼甚だしい、重罪だ、くらいに感じて欲しいものです。
もう一つは後で時間を作り(
時間がある時、ではない!)、そのメモを基に
自分なりの業務マニュアルを作るため。
メモはあくまでもメモ。語句の寄せ集めでしかありません。それを解り易く整理し、まとめ、
誰が見ても同じ悩みが解決できるツールにして初めてそのメモは天命を全うするのだと思います。まだまだ半人前の自分に後輩が出来たときでも、そのツールがあれば説明し易いし、そうやって代々ノウハウを伝えていくのは効率的。とても意義のあるやり方だと思います。
ところがそれらの出発点である“メモ”を取らない、というか取るという発想すらない若い衆が多いのなんのって!想像するに“そんなに難しいことじゃないから聞けば分かるよ!”程度にしか思っていないのでしょう。先輩からの貴重なレクチャーを
道端の石コロ程度の価値にしか思っていないんですよね。それは間違いで、教えてくれる先輩がまともな社員である限り、そのレクチャーには正しい情報から先輩の経験に基づく最良のノウハウ、事例などが多く詰まった、いわば
ダイアモンドと同じくらい貴重な宝物(のはず)なのです。そういう発想が出来ないのでしょうね。仕事だから単に仕方なく教えを受けているのだ、という甘えが抜けきらないのかも知れません。
本来ダイアモンドを与えられたら、それ相応のケースを買って収め、キチンと鍵の掛かる場所に大切に保管するはず。間違っても無造作にポケットに突っ込んで、“無くなっちゃったらその時はまた貰いに行けばいいや!”なんてことは考えません。教えられた情報・ノウハウに対し、ケースも金庫も用意しようとしない、ゆえに先輩からのアドバイスや指導を所詮石ころ程度にしか思っていない、と証明出来ます。
実を言うと新入社員時代の私も彼らに近いものがありました。目先の仕事を終わらせるために必要なことだけ聞きたがり、付随するちょっとしたことはスルーして頭に記憶させず、結果的に後で先輩を煩わせてしまった経験が少なくありませんでした。
その考え方を変えたのは、
ずっと尊敬していた仕事のデキる1年先輩の社員が新人時代に使っていたノートを見せて貰った時から。最初のページに書かれていたのは、新人が最初に教わる、
オンライン端末を使った倉庫への納入指示のやり方について。何と、1行目に書かれていたのは、
「(1)パソコンの電源ボタンを押す」
でした。一瞬(そんな当たり前のこと、バカでも分かるだろう。この人、ふざけているのか?)と思いましたが、自分の経験と照らし合わせると案外重要なキーワードは記憶しているのに、ちょっとしたことをバカにして疎かにしてしまい、後で迷ってしまうということが多いことに改めて気付きました。
ノートには操作工程が丁寧過ぎるほど細かく1つ1つ書かれていました。
「数量を入力→Enterを押す→納入エリアコードを入力(3桁に満たない場合は“0”を必ず入力!)→Enterを押す→…」
という感じです。私なら確実にEnterを押すタイミングや、エリアコードが一桁の場合どうするんだっけ?などの記憶があやふやになって「先輩〜(助)…」という状態でしたね。
仕事がデキる先輩がこんな初歩的な…いや、言葉は悪いですが小学生レベルのことをイチイチメモしていたことにショックを受けました。
「オレはバカだから細かく書いておかないと忘れちゃうんだよ」
と謙遜する先輩でしたが、その小学生レベルのことも満足に出来なかった自分をこの時は恥じましたね。実際、このノートがあれば誰にも教わらなくても一人で確実に納入指示業務は遂行出来るじゃないか、これさえあれば鬼に金棒だ、というノートを作るつもりでこれから質問を考え、メモに記録し、後でまとめればいいんだ!と私の頭の上に電球がピカッと燈った瞬間でした。
私は常々、仕事がデキるということは、製品をたくさん売る、とか短時間で多くの業務を消化出来る、などの資質と同時に、
自分が身につけたスキルや情報、ノウハウを整理し、明文化し、いつ・誰にでも同じ仕事が代行可能な状態にまとめておくことが常日頃から自然に出来る、という資質を持つことが必須条件だと思っています。その先輩の影響が大きいのかも知れませんが、この考え方はサラリーマンになって以来ずっと変わりません。つまり組織の中の一個人という立場では、サラリーマンって自分の所で情報やスキルを停滞させずにどんどん川下へ流しつつ、自分は川上へと上り続ける
サケのような存在(?)じゃないでしょうか?よく保身目的で仕事を一人抱え込んで水平展開を拒む人がいますが、それは水を塞き止めるだけの行為であり、産卵して子孫を残すというサケのDNAに刻み込まれた習性からは程遠い行為だと思っています。だからねぇ…本当は
ちゃんとメモ取ってマニュアル作れっつーんだよ!オレの周りのクソ新人ども!!…って、毎日大声で叫びたくて喉元まで出掛かっているんですよ。言いませんけれど(笑)