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孤虫症(ネタバレあり)

2013-12-11 Wed 20:18
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 「殺人鬼フジコの衝動」でお馴染みのメフィスト賞受賞作家・高梨幸子著「孤虫症」(講談社文庫)を読了しました。最近また友人とお互いのお勧め小説を交換したのですが、その中の一冊です。

 物語は、数多くの男との情事を習慣にしている主婦・麻美が主人公。彼女の不倫相手が次々と全身ブルーベリー状の瘤だらけになって死んでゆく。やがて麻美自身の体にも異変が起こり、彼女は気が狂ったようになって失踪。麻美から相談を受けていた妹・奈未は、麻美の夫・隆雄とともに麻美を探すが…。

 まずは素直に面白かったです。少なくとも今年読んだ本の中では最速、あっという間に読み終えてしまいました。

 著者の作品では確実に読者を選ぶレベルのエロ・グロ描写は珍しくありませんが、本作は特にキモかったですねぇ。なんてったって主役が“寄生虫”なんですから(笑) 思わず首筋や背筋がモゾモゾしましたよ(笑)

 しかし大半はとても面白く読み進められたのですが、ミステリー要素が強くなる後半、特にラスト。多くの謎が解明されるシーン…あれはちょっと強引かつ呆気なさ過ぎですね。確かに伏線らしきものが張ってあったのは理解しますが、私の評価としては“強引”のひと言です。Amazonのレビューでどなたかが書いていましたが、「最終回で時間が足りずに強引にまとめてしまうドラマ」みたいでした。

 まぁ、それはまだ許容範囲として、この小説には気に入らない手法が2つあります。

 まずは文中で主人公・麻美視点での出来事(と、普通に読めば受け取るであろうこと)のほとんどが、ラストで“実は梶原(本作最大の悪者)視点の出来事でした、チャンチャン♪”と明かされるのです。考え方は人それぞれでしょうが、私はこれ、反則だと思います。

 先日読んだ「彼女は存在しない」のオチもこれと似た手法を採用していましたが、個人的意見としては禁じ手にして欲しいくらいです。確かに改めて最初から読み直せば辻褄は合っているのでしょうし、麻美・梶原どちら視点とも取れるように工夫して書かれているのだと思います。でもこれをやられてしまうと、少なくとも今後は高梨幸子ものを読むたびに(これは本当は別の人物視点なんじゃないか?)と疑いたくなり、主人公の気持ちにシンクロしたり、物語の世界に没頭できなくなりそうです。

 それでも「彼女は存在しない」の場合は、まだテーマが多重人格ものでしたし、こういう書籍の特徴を活かしたテクニックもありかな?と思いましたが、まさかその直後に読んだ本でも似たような仕掛けが採用されていたとは…。正直気分萎えますね。(えっ?じゃあもう一回最初から、今度は麻美じゃなくて梶原視点での出来事で本当に辻褄合うかどうか読んで確認してみよう!)…って気にはなりません。

 そしてもうひとつ。実はこっちの方が本当の禁じ手、反則技ですね。それはラストの種明かしシーンでのこと。舞台となるタワーマンションの主的オバサンたちが事件の全貌を告白するシーンで、初めて保険金絡みの死亡事故の話、それを麻美に怪しまれていたこと、麻美の娘・美沙子の万引きをネタに麻美を精神的にコントロールしていた梶原とのパワーバランス…これら事件の発端となった出来事が初めて明かされるのです。

 確かに睡眠薬、麻美が紹介した同級生の保険営業マンらの存在はチラっと出てきますが、これだけで読者が事件の真相を推測するのは普通は至難の業でしょうね。

 島田荘司が唱える「ミステリーのルール」の中には「犯人を推理する材料は、事前に全て読者に公開されていなければならない」というものがあります。“斬新”“現代的”と言ってしまえばそれまでですが、これではミステリーでも何でもないですね、私的には。


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