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シンメトリー(ネタバレあり)

2014-02-07 Fri 23:00
シンメトリー


 誉田哲也著「シンメトリー」(光文社文庫)を読了しました。

 本書は最近続けて読んでいる「姫川シリーズ」のひとつであり、誉田もの、姫川ものとしては初めて読む短編集。収録されている全7話中ほとんどが姫川が警部補に昇格し、現在所属する警視庁捜査一課十係の班長に就任する以前の出来事を、時に回想する形で書かれています。1話につき40~50ページなのでサクサク読み進めることが出来ました。

 書名は収録中のあるエピソードのタイトル。意味を調べると「対称性」だそうで、目次の文字数や言葉も左右対称になっている点に遊び心を感じます。

 各エピソードは…


「東京」
 癌で病死した元上司の命日に、未亡人とともに墓参りに来た姫川。そこである少女を見かけたことから、当時上司とともに捜査した、ある女子高生転落事件について思い出す。

 本書収録エピソード各話の事件は、これまで読んだ誉田ものとは打って変わりほとんど一瞬で解決(笑) まぁ短編ですからね。

 それ以上に本書からは、事件や人物を通して社会(世間)への訴えかけが秘められているように感じます。余命いくばもない老刑事が自殺しようとする少女に向かって訴える命の大切さ、自らの人生への思いは、言葉はベタですが思わずグッときました。


「過ぎた正義」
 過去に3人の女子高生を拉致監禁し、殺害した上に心神喪失を装い無罪放免となった男が交通事故で死亡。また、15歳で強姦殺人を犯すが未成年ゆえ1年で釈放された男が薬物中毒で連続して死亡した。
 2人の死に疑問を持った姫川は、双方の事件の捜査に携わった元刑事に会って真相を確かめるべく、彼を探すが…。

 正義とは?罰とは?理性とは?思わず考えてしまいます。


「右では殴らない」
 摂取すると薬物中毒になるよりも早く劇型肝炎を起こし死んでしまうという、新型の薬物による死亡事故が相次いだ。問題の薬物の出所を捜査する姫川は、ある女子高生にたどり着く。彼女は被害者たちの援助交際の相手であった。

 ワイドショーの若者へのインタビューなどでたまに聞く、

「援交なんて風俗嬢と同じなんだから別にいいじゃん!」
「自分の責任でやってるんだから別にいいじゃん!」
「誰にも迷惑かけてないんだし、社会とか法律とか関係ないじゃん!」

…的な身勝手な持論を主張する女子高生を、姫川が理屈で論破するシーンは爽快。本書最大の見せ場ですね。


「シンメトリー」
 酩酊状態で踏切を越えて車を線路内に走らせ、死者100人を超す脱線事故を引き起こすも、下された判決は僅か懲役5年。しかも反省の色が見られず遺族に対しても悪態をつく男・米田。顔馴染みの少女をこの事故で失った駅員・徳山は、怒りから米田を殺害するが…。

 世の中には腐るほどある、理不尽な事例の代表のようなお話です。


「左だけ見た場合」
 手品視の中年男が自室で殺害される。死体が手にした携帯電話には、横浜市のある地域のものと思われる電話番号が途中まで入力されていた。
 姫川は彼の数少ない交友関係を、携帯電話の電話帳を基に当たる。そして彼が過去に大工だったこと、消費税アップ前の駆け込みバブルでトラブって大損していたことを突き止める。

 中小企業や個人事業主の苦悩ですね。


「悪しき実」
 あるマンションで自殺とも他殺とも取れる男の死体が発見される。肝心の通報者と思しき同棲相手のホステスが姿を消したため、姫川は彼女を捜す。やがて発見した通報者は何も語ろうとしなかったが、ある遺留品に注目した姫川に対し、ついに…。

 暴力団により狂わされた人生、暴力団により引き裂かれた愛ですね。


「手紙」
 姫川が本庁に引っ張られるキッカケとなったOL殺人事件の回想。あるOLが殺され、捜査の応援に回された姫川。彼女はこのチャンスを何としてもモノにしようと頑張り…。

 罪を犯した人間は、赦しを受け、赦しを感じられて初めて罰を受け入れられることが出来る…なるほど…。


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シンメトリー (光文社文庫)シンメトリー (光文社文庫)
(2011/02/09)
誉田 哲也

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