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《誹謗・中傷、暴露系ネタ、アラシ厳禁》
無欲の求心力

2014-09-27 Sat 00:00
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 先週末、ずっと楽しみにしていた「グレートトラバース 日本百名山ひと筆書き踏破」(詳細はコチラ)の第四集が放送されました。

 今回の放送内容は、新潟県の雨飾山から関東近郊の百名山を経由し尾瀬の燧ケ岳に至るまでの33座踏破の様子。東京在住の私にとっても馴染み深い山ばかりなので、この第四集は特に楽しみにしていました。

 さすがにVTRは駆け足気味でしたが、全ての百名山の登頂シーンあり、各地での人々との交流シーンあり、田中陽希氏(以下:親しみを込めたつもりで“よーき君”)の人柄の素晴らしさが伝わるオフショット的シーンありと、期待通りの内容でした。ちなみに最も面白かったのは露天風呂が熱過ぎて入れないシーン(笑)

 しかし今回の放送は…FacebookやTwitterを日々チェックしていたので何となく想像してはいましたが…われわれ視聴者、特によーき君に会いたがる“ファン”への問題提起を多く含んでいましたね。興味深かったです。

 中でも筑波山と日光男体山のシーンが印象的でした。

 筑波山頂に夕方到着すると、多くのファンがよーき君を待ち構えている。中には「一度下山したが、これから(よーき君が)登って来ると聞き慌ててケーブルカーで引き返してきた」とアピールする人も。

 疲れているはずのよーき君ですが、快く彼らの“欲望”に応えサインや記念撮影に応じ、ザックに入り切らない大量の差し入れを受け取る。ファンは“欲望”が満たされると「日没までに下山したいから」と、よーき君を一人残してさっさと下山。よーき君も同じ考えのはずですが“荷物”を減らすためにその場に留まり、猿山の猿のような格好で(笑)サンドウィッチやポテチをひたすら食べる。結果的に山頂で1時間半も足止めを食らい、日没までに下山出来なかった、というシーンでした。

 日光男体山でもよーき君は逐一歩を止め、ファンの“欲望”を満たす。しかし登山中に擦れ違ったあるおじさんに「頂上でたくさんの人が『遅い、遅い』と言いながら待ってるよ」と言われ、遂に苛立ちが爆発。カメラマンに「ちょっと叫んでもいいですか?」と断り「ワーーーーッ!!!」と叫ぶ。

「『遅い』って言われてもねぇ…応援してるんだかしてないんだか…」

怒りや戸惑いを極限まで抑えての精一杯の発言だったのでしょう。それでも登頂すれば時間をかけてファンとの記念撮影やサインに快く応じるよーき君。それどころか「遅くなってすみませんでした」と謝罪。これほどの人が耐えられないなんて、よほどのストレスなのでしょうね。

 他にも町中でファンと握手したり、路上で記念撮影に応じたりするシーンがいくつもありました。実際にはこういった機会はこの何倍もあるのでしょうが、よーき君の立場を考えたら難しい問題です。

 例えばファンにサインや撮影を求められ、もし「ちょっと急ぐのでごめんなさい」と断ってしまったら、ヘソを曲げたファンがSNSにあることないことぶちまけるかも知れない。そうなるとよーき君のみならずカッパクラブやNHKのイメージも悪化し、迷惑をかけてしまう。

 また、もしもいただいた差し入れを食べ切れないからと処分してしまったり、スタッフが厚意で手伝って食べてしまったりした場合、それを陰で見ていたファンがSNSで暴露しても結果は同じです。

 では応援グッズを身につけているファン、すなわち活動資金出資者限定でサービスすればよいか?というとそれもマズい。直接支援金を振り込んだ人を判別不可能ですからね。まさか逐一訊ねるわけにもいかないし。結局近寄ってきた全ての人に優しく接するしかないんですよね。

 まぁ、それ以前に“頑張っている人を応援すること”と“己の欲望を満たすこと”の違いが分からない人が多すぎるのが最大の問題なわけで…。やはり大前提として、まず相手を尊重し、相手の気持ちを想像してから声をかけて欲しいものです。そう考えると「第二集」でキャンピングカーでよーき君を追いかけてきたオジサンは、よーき君の立場をよく理解していましたよね。

 もともとこのチャレンジは、よーき君自身が面白そうだと、自分なりに旅を楽しむために企画、NHKに提案、実現したものだそうです。しかしテレビの反響は大きく、よーき君に会いたい、ひと目見たい、何か差し入れたいと願うファンは日に日に増え、結果的に彼の旅を妨げ、彼自身が思うように旅を楽しめなくなってしまったわけです。

 もしもよーき君がどうしても誰にも邪魔されずに旅を楽しみたいのなら、旅に必要な資金を一生懸命貯めて、人知れずこっそり実行すればよかったわけです。まぁ今の時代はそれでもSNSで情報が拡散され、話題になってしまう可能性もあるわけですが…。

 しかし彼はそうしなかった。その結果、彼の活躍を見て心が動いた視聴者が日本中に現れ、もはやよーき君の挑戦は彼だけの楽しみでなくみんなの楽しみに、彼だけの夢ではなくみんなの夢として膨れ上がってしまった。その結果、応援されるのは嬉しい。でも自分だけの旅じゃなくなっている。自分なりの楽しみ方が実現できなくなりつつあるというジレンマが生まれる。

 こうなったら答えはひとつしかありません。彼はテレビをはじめとするメディアを最大限利用するしかない。テレビで自分の魅力や凄さをアピールし、名を売り、ファンやスポンサーを増やし、今後予定している企画やビジネスに上手く利用してやろうと割り切るしかないと思います。

 番組のラストでは、それに気づいたと思しきよーき君がカメラに向かって「自分を通して山が好きになった、山に登ってみたいと思った人が増えてくれればいいのかな、と思う」とコメント。それでよいと思います。今回の旅が終われば、多分カッパクラブが大繁盛しますって(笑)

 私的に救われたのは、放送を見た視聴者、特に“己の欲望を満たして満足した人”が何人か、「あれは私です。テレビを見て反省しました」みたいなコメントを彼のSNSに残していたこと。純粋に山を愛する人たちに悪人はいない、そう信じられるような気がしました。

 昔好きだったあるロックバンドのメンバーがこんなことを言っていたのを思い出します。

「バンド側が『イエ~イ!!』とか『盛り上がろうぜ~!!』と煽っても観客がシラ~ッとしているのが“三流バンド”。バンド側が煽れば観客も盛り上がるのが“二流バンド”。“一流バンド”とは、わざわざ観客を煽らなくてもギターを『ジャーーン!!』と鳴らしただけで観客が勝手に『ウォーーッ!!』と湧くバンドなんだ」

それなら、

「自分は勝手に旅を楽しんでいるだけなのに、なぜファンはこんなにも盛り上がるのだろう?彼らを掻き立てるものって何なんでしょうね?」

そんなことを笑顔で呟くよーき君からも“一流”のニオイを感じます(笑)


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