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螢(ややネタバレあり)

2016-03-03 Thu 00:00
蛍


 麻耶雄嵩著「螢」(幻冬舎)を読了しました。ミステリー好きの叔母から借りた本で、私は初めて読む作家さんでしたが、結構レベルが高く上質なミステリーでした。こういう“出会い”というのもイイですね。

 物語はまず冒頭で、行方不明となっていた【対馬つぐみ】という女子大生の遺体が発見されたことを伝える新聞記事。どうやら“ジョージ”と称する連続殺人鬼の仕業のようです。

 舞台は変わり、その半年後の夏。対馬つぐみも所属していたF大学のオカルトスポット探検サークル“アキリーズ・クラブ”のメンバー6名が、京都の山中に建つ“ファイアフライ館”という屋敷に合宿目的でやって来ます。ファイアフライ館というのは遡ること10年前、家主の加賀螢司というヴァイオリニストが仲間の演奏家6人を惨殺した舞台として有名な屋敷。現在はアキリーズ・クラブOBの佐世保左内という男が買い取り、当時の様子を限りなく忠実に再現しつつ、所有中。そんな不気味な館で肝試しをしながら数日間共同生活しよう、というわけです。

 ところがその家主の佐世保が2日目の朝、自室で死体となって発見される。警察に連絡しようにも電話は消失し、携帯電話も圏外。おまけに初日から降り続く豪雨のため車も出せない(途中の川が増水して渡れない)。あぁ、なるほどね。よくある“閉ざされた館で次々と殺人が起きる系”ね…ここまで読んでこれがクラシックな本格ミステリーだということが想像出来ました。

 しかし本作が特徴的なのは、この殺人事件が10年前に起きた演奏家惨殺事件と関係があるのではないか?(殺された6名の他に1名、行方不明の女性メンバーがいる)と匂わせている点。そして巷を騒がせている連続殺人鬼・ジョージと関係があるのではないか?とも匂わせている点です。これらの要素を加えることで結構複雑になっています。

 また、普通なら1日1名ペースで起きるであろう殺人事件…ここでは第2の殺人が、なぜかクライマックス付近まで一向に起きない点(笑)も特徴的でしょうか?新鮮でした。

 そして何といっても意外だったのが、ラストで判明する2点の(読者へ向けて張られた)トリックですね。

 ひとつは、最初からA氏を一人称として書かれていると信じていたのに、実はずっとB氏視点だった、というトリック。そしてもうひとつが、メンバー中、唯一の女性メンバー・松浦千鶴が、実は男性ではなく女性で、弟の身分証明書を使って正体を偽って参加していたのだ!というトリック。といっても、読者は最初から普通に彼女を女性と認識して読んでいるので、えっ?という感じです。実はこちらはトリックといっても、読者ではなく松浦千鶴以外の登場人物に対して仕掛けられたトリックらしいです。でも注意深く読むと、どちらのトリックについても、それを匂わせるヒントは何ヵ所もあるんですよね。正直私はどちらも全く気づきませんでしたが。こういうタイプのミステリー、苦手です(笑)

 まぁ、この2点に気づかないと読者が正しく犯人を予想することは不可能というわけですね。私にはレベルが高くてちょっと納得いきませんが、それを差し引いても面白かったといえるでしょう。

 せっかくなので他の麻耶雄嵩ものも読んでみたいですね。


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