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BT’63(上)・(下)

2016-08-11 Thu 06:18
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 池井戸潤著「BT’63(上)」「同(下)」(講談社)を読了しました。

 池井戸潤の著書というと、私はドラマが大ヒットした「半沢直樹」や「下町ロケット」のような企業を舞台にした不祥事もの、痛快サクセスストーリーをまず思い浮かべます。しかしこの「BT’63」には企業の繁栄・衰退の要素に加えSFファンタジー、殺人ミステリー、サスペンス、ハードボイルド、恋愛、父子愛といった要素が盛りだくさん。とても読み応えのあるお話でした。まぁ私は個人的に著者には純粋な企業ものの方が合っていると思いますすが(笑)

 物語の主人公は、たまに“自分の意識がどこかに飛んでしまう”精神障害のため、2年間入院していた30代半ばの大間木琢磨。この病気がきっかけで妻とは離婚。5年前に父・史郎も他界したため現在は母親と2人暮らしです。

 物語の舞台は著者得意の(?)大田区周辺。大田区民としてはとても親近感が湧いて嬉しい。

 ある時、琢磨は自宅の押入れから高級ホテルのドアマンが着るような派手な制服と、トラックのキーを発見します。それは亡き父の運送会社勤務時代の制服と、当時使っていたBT’21というトラックのキー。父は鉄鋼会社で定年まで勤務し、そこで母と知り合い結婚したと聞かされていた琢磨は、父が運送会社に勤めていたことすら知りませんでした。

 そしてその晩、何気なくその制服に袖を通した琢磨の意識は、昭和38年に運送会社の経理課長として働く父の意識とシンクロし、父の視点から当時の出来事が断片的に見えるようになります。

 若き日の父を知りたいという好奇心と、当時の父の素顔を知ることが心を病んだ自分が再起するきっかけになるのでは?という期待から、琢磨は当時のことを調べ、運送会社や取引銀行のあった場所を訪れ、関係者を訪ねて情報収集します。当時の出来事を知り、“タイムスリップ”を繰り返すうちに、父が体験した運送会社での新事業開発とその衰退、会社の倒産、DV夫から逃げてきた女性との秘められた恋、同僚運転手らが起こした不祥事と彼らの謎の死、闇組織との闘い…寡黙で仕事の話は一切しなかった父からは想像も出来ない、波乱万丈の人生を知る…そんなお話です。

 テーマというかポイント的には

・会社の倒産
・同僚の悪事
・闇組織との対決
・父の恋愛
・琢磨自身の再生と別れた妻との行く末
・父子愛

と少し多いのですが、上手く書かれているためか、混乱することなく一気に読めてしまいました。

 池井戸潤は私的に今一番ハズレがなく、一定以上の満足を得られる作家さんです。


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