現在の閲覧者数:
無料カウンター
《誹謗・中傷、暴露系ネタ、アラシ厳禁》
少女(映画・ややネタバレあり)

2016-10-20 Thu 00:00
少女


 湊かなえデビュー2作目でこのたび映画化された「少女」を見ました。

 といっても原作…文庫版ではなく私が読んだ早川書房の単行本は2009年1月発行。大まかな設定以外全て忘れてしまったので、再読してからの鑑賞です。“タッチー&昴”や“高雄孝夫”の存在も、「ヨルの綱渡り」なんて小説が登場したことも完全に忘れていましたね(笑)

 「少女」はここ2、3年に出版された新し目の作品を除けば、恐らく湊かなえもの最後の映像化でしょうか?主人公の少女二人の複雑で微妙な心理描写をどこまで表現出来るのか?彼女らが興味を持つ“死”をちゃんと原作のニュアンス通り描けるのか?とても楽しみでした。

 まずはキャスティングについて。主人公の少女二人は、ともに実年齢24歳の山本美月(敦子)と本田翼(由紀)。賛否分かれると思いますが、やはり女子高生としては見た目的にキツい(笑) 学校のシーンではさほど気になりませんが、子役との共演シーンになると途端にオバサン感バリバリです。佐藤玲(紫織)だけは同じ24歳ながら女子高生で通用するモノがありましたが(笑)

 しかし演技についてはどちらも想像以上によかったです。特に本田翼はイイですね。ショートボブの可愛い彼女が時折見せる暗い表情、攻撃的な表情、無感情な表情…どれも魅力的。由紀を上手く演じています。私はどちらかというと山本美月派(?)でしたが、一気に本田翼派になりました(笑) 本作を見て本田翼についてもっと知りたいと思えたことが、映画を見た一番の収穫かも知れません。

 小倉先生役のアンジャッシュ児島は、もしかしたらキャスト中で最も原作のイメージ通りだったかも知れません。キモくてヤバそうな中年男・高雄孝夫役の稲垣吾郎も(やや爽やかですが)期待以上。同じSMAPのキムタクがいつまでも主役クラスのイケてる役しか演じないのに対し、冴えない脇役もハマるのは彼の強みでしょう。彼自身への好感度もアップしました。

 そして映画版のストーリーと演出について。まず、いきなり教会(?)で女子高生の演劇のようなモノが始まります。台詞をよく聞くとある“遺書”の文章。この遺書は誰が書いたのか?も含め後々重要なポイントのはず。それがイメージ映像の一部のような使い方をされたことに違和感を覚えました。まぁ邦画にありがちな演出ですが。映像作品は原作に忠実に再現しろ、とは言いませんが、やはり全体的に原作の“ダイジェスト版”という印象になっていた感は否めません。

 例えば主人公二人の心情描写。二人は一見親友ですが、実は心の奥底に相手への妬み・軽蔑・怒り・不信感などを持っており、それらの感情が複雑に交錯しています。それが物語のメインイベントである夏休みの体験を通じて成長することで、少しずつ解れてゆくのがミソなのですが、残念ながら“ダイジェスト版”ゆえ尺も短く物足りない。当然作者得意の伏線も減るし、それを回収する際に得られる驚きや快感も物足りないわけです。したがって死体を見たい理由も今一つ伝わってこないし、敦子が「ヨルの綱渡り」の主旨に気づいた時の感動も薄い。個人的には校内食堂で敦子が由紀の分のハンバーグドリアも一緒に運んであげるシーンは入れて欲しかった…。

 あとは“それ、もうバラすの?!”というシーンがいくつかあったこと。タッチー&昴の企みと正体は高雄が刺されるまで分からないから面白いのだし、紫織が“嘘痴漢”で小遣い稼ぎをしている事実も最後まで分からないからラストのどんでん返しでの驚きが増す。映像化に当たりどれだけ必要性があるのか分かりませんが、それらが早いタイミングで明かされてしまったのが残念です。原作で、由紀が紫織の変態親父を脅迫するシーンもカットしない方が、本作のテーマである“因果応報”感がより強く出て完成度がアップしたと思うんですけどね。恐らく観客の多くは原作も読んだと思いますが、いきなり映画版を見た人がどれだけ理解して、どれだけ面白いと思えたのか?ちょっと気懸かりかも。

 湊かなえ作品は書籍の特徴を最大限活かし、書籍で読んだ時に最も面白いコンテンツであることは間違いありません。そう考えると、映像化作品は最初から比較して楽しむというのは無意味なのかも知れませんね。これはこれでよくできた映画かな、と思いました。



スポンサーサイト
別窓 | 映画 | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑

<<背中がムズムズする会見 | 瑠璃色幻想曲 | ちょっと小さい話>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 
 
 
 
 
 
  管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL


FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
| 瑠璃色幻想曲 |